フードクリエイト科1年
マヨネーズにマスタードやトマトケチャップを混ぜる―― このあたりまでは、だいたい味の想像がつく。 「うん、こうなるよな」と頭の中で味が組み立てられる。
でも、そのソースをローストチキンにのせたり、茹でた海老に合わせたり、 さらに玉ねぎやレタスと一緒にして、最後はマフィンに乗せるとなると…… さて、どんな味になるのだろう。
見た目は、確かに美味しそうに仕上がった。 いよいよ試食、と思ったその瞬間。 笹井先生の一言。

「どう美味しいのか、あとでレポートを書いてもらいます」
その言葉で、ただの試食が一気に“観察”へと変わった。 口に入れる前から、味をどう言葉にするかを考え始めてしまう。

食べ終わり、レポートを提出。 先生から返ってきたコメントを読んで、思わず「ほ〜」と声が漏れた。
同じものを食べているはずなのに、 感じ方がこんなにも違うのか。
自分の感覚だけで「美味しい」を決めていいのだろうか。 そもそも、美味しいって何だろう。 味覚はただの好みではなく、 記憶や経験、文化や価値観まで絡み合った“ひとつの世界”なのかもしれない。
今日の実習は、料理をしたというより、 美味しさという謎の扉をそっと覗き込んだような時間だった。
